数週間の出会いが、なぜか一生モノになる。リゾバで生まれた絆の話

更新日：2025年12月8日

リゾートバイトをしていると、よく耳にする言葉があります。
「リゾバでは一生ものの出会いがある」。

確かに一つ屋根の下で共同生活となると、人との距離が近くなりやすい。
でも、数週間から数ヶ月という短い時間で、本当にそんな関係が生まれるのでしょうか。

筆者はこれまで5年以上リゾバを経験してきましたが、実際に“今もつながっている仲間”が何人もいます。

同じ部屋で暮らし、同じ空間で働いた時間が、なぜか忘れられない。

今回の記事では、そんな「短期間なのに深くつながる理由」を、私自身の体験をもとにお話しします。

リゾバの共同生活が、人との距離を一気に縮める理由

筆者が今でもつながりを持っている人たちは、いずれも相部屋寮で共同生活を送った仲間です。

個室寮でもさまざまな出会いがありますが、相部屋寮はまさに寝食を共にする環境。

まかないの好みや休日の過ごし方など、日常の中で見えてくる素の姿から、相手への理解が深まります。
さらに、職場での愚痴や悩みを話すうちに、気づけば本音を話せる相手になっていました。

ときには夜更けに語り合い、ときには一緒に温泉やサウナに入りながら、一日の疲れを流す……。

そうした時間を重ねるうちに、ただの同僚が“信頼できる仲間”へと変わっていき、自然と“心の壁”がなくなっていきます。

リゾバで生まれた絆エピソード

episode1. スキー場で出会った青年と、“海外への夢”でつながった

もう10年近く前のことです。
筆者が今でも連絡を取る相手の一人に、新潟のスキー場リゾートバイトで出会った5歳下の青年がいます。

彼とは相部屋寮で一緒になり、出会ってわずか数日で、恋愛の話や将来の夢まで語り合う仲になりました。
なにより印象に残っているのは、お互いに「海外に行きたい」という想いを持っていたことです。

当時の筆者は、東南アジアを旅するために資金を貯めており、彼はオーストラリアでのワーキングホリデーを目指して働いていました。
行き先は違っても、“日本の外で挑戦したい”という想いは同じ。

夜の寮で語り合ううちに、自然と心の距離が縮まりました。

休日になると、彼はいつも英語の辞書を手に勉強していました。

その姿を見て、「この人はきっと夢を叶えるんだろうな」と心から思ったのを覚えています。
お互いに英語を学んでいる共通点から、気づけば目的のない雑談でも会話が弾み、気を使わずに本音を話せる、まるで学友のような関係になっていました。

たった数週間の出会いでも、夢を語り合い、互いを刺激し合った時間は、今でも鮮明に覚えています。

episode2. “自分の手で生きたい”という想いで共鳴したZ世代の彼

伊豆高原のリゾートバイトでは、6人が暮らすシェアハウスタイプの相部屋寮でした。
その中で唯一、共用スペースでいつもノートパソコンを広げていたZ世代の青年がいました。

気になって話しかけると、スマートフォン向けのアプリを開発するエンジニアを目指しているとのこと。
当時の筆者は駆け出しのライターとして、ウェブ制作や記事執筆の仕事を始めたばかり。
まさかリゾートバイトで、自分と同じようにウェブの世界で生きようとしている人に出会えるとは思っていませんでした。
その話を聞いた瞬間、なんだかうれしくなったのを覚えています。

彼は日常の課題を解決するアプリを構想していて、どう収益化するかまで真剣に考えていました。
朝、仕事が始まる2時間前に起きて、誰よりも早く共用スペースでパソコンを広げる姿を見て、「誰かに頼らず、自分の力で生きる」という覚悟を感じたものです。

その姿勢に共感し、心から尊敬しました。
職場では客室清掃のバディとして行動することが多く、自然と距離も近づいていきます。

互いに多くを語らずとも、“自分の手で生きていく”という想いがどこかで重なっていたのだと思います。

リゾバを終えた今もSNSを通じてつながりが続いており、彼はアプリ開発からマーケティングの道へ進んだそうです。
それぞれの場所で違う形で“ものづくり”に向き合う姿を見るたび、今でも刺激を受けます。

episode3. リゾバの出会いが国境をこえた。外国人スタッフと恋に落ちた彼女

「まさかリゾバで、スペイン人と恋に落ちるなんて。」
そう話してくれたのは、筆者の友人（女性）です。

彼女はニセコのホテルでフロント勤務をしていました。同僚にいたのが、片言の日本語を話すスペイン人スタッフ。
言葉がうまく通じない中でも、彼はお客さんに真摯に向き合い、誰よりも早く出勤して雪かきを手伝うような人だったそうです。

そんな姿を見て「この人、すごくまっすぐだな」と感じたといいます。

彼女もまた、英語が得意ではなかったものの、「せっかくの環境だから」と彼との会話を通じて少しずつ英語を覚えていきました。
お互いの言葉を教え合いながら、音楽や映画の話題で盛り上がり、やがて自然と惹かれ合うようになりました。

リゾートバイトが終わると、彼はスペインへ帰国。
驚いたのは、その彼を追って彼女もスペインへ渡ったこと。二人は約2年間、現地で同棲生活を送りました。

文化や食生活の違いからすれ違いも多く、最終的には別れてしまいましたが、彼女は「それでも、あの出会いは一生の思い出」と話します。

【まとめ】期間は決まっていても、縁には期限がない

リゾバは働く場所でありながら、人と人の距離が最も近い環境です。
毎日顔を合わせ、同じ空間で生活し、同じ仕事に向き合う。
そんな日々の積み重ねが、自然と相手への理解を深めていきます。
一緒に過ごした時間の長さよりも、「相手にどれだけ心を開いたか」で関係は決まるのです。

仕事の期間は決まっていますが、人とのつながりに期限はありません。
同じ時を過ごし、言葉や思いを分け合ううちに、気づけば相手が自分を支える存在になっていく。
その先は離れても続くことがある。それがリゾバで生まれるつながりです。